ColunmとEssay
1 精神医療と心理療法
01 向精神薬の危険性 2003/02/01

 理論編「1.1 心理障害は「病気」ではない」で、心理障害は「病気」ではなく、人間心理の一形態だという考えを述べました。

 医学上正式に「病気」と言うためには、症状よりも原因の特定が重要です。
 それをはっきりさせないまま心理障害を脳の病気と言う精神科医の言葉には、心の病に対する偏見をなくそうという意欲と、医科学理論としての厳密さの不足を同時に感じます。
 「薬が効く」ことをもって「病気である」ことの証拠であるかのように語る精神医学者も見かけます。薬にも単に症状を緩和するだけのもの(例えば解熱剤)と、病気の原因そのものを除去するもの(例えば抗生物質)があります。薬が効くからといって、それが一つの「病気」だというのは医科学的には不適切と思われます。

 まして「向精神薬」、脳に直接作用する物質。
 これを飲んで効くからそれは病気だとは、ちょっと乱暴な論理のように思われます。

 精神科医が心の病を病気と見なして投薬治療を試みるのにも、真剣に患者さんを回復させようという意欲と、心理障害を「心理の問題」として取り組む難しさからの逃げの、2つの側面があるように感じます。
 後者の姿勢が優勢な精神科医もおられるようで、注意が必要だと思います。

 心の病を純粋に心理の問題として取り組む医科学理論もありえるのです。
 そろそろ、そのような目を精神医学者にも持って欲しいと思います。

 向精神薬「リタリン」の話題がインターネット上で飛び回ったようです。
 簡単に処方してくれる病院の情報が出回り、依存者が悪用するというものです。悪用というのは、この薬をうつ病の治療のためではなく、一度に大量に摂取して覚醒剤と似た高揚感を得ようとしているもののことですが、胃や腸の一部が壊死するとか幻覚が起きるなど、中毒性や副作用もかなりひどそうです。

 「最近では心理障害への良い薬がある」という言葉を否定しようとは思っていませんでしたが、もうそろそろ、薬に頼るのはやめることを真剣に考えるべき時ではないでしょうか。