ColunmとEssay
2 心理障害のメカニズム
01 自意識過剰という自意識 2003/04/03

 対人恐怖症などでは良く、“人にどう思われるか自意識過剰になるからだ。人それぞれなのだから自意識過剰になるのはやめよう。”とか考えるものです。
 しかしこう考えたところで、人に変に見られることを恐れる気持ちが簡単に消えるわけではありません。自意識過剰になるのをやめようと考えるのが、実は人の中で落ち着いた振る舞いをしたい、緊張する姿を見せたくない、という衝動に駆り立てられたものである場合、自意識過剰をやめようと思うことそのものが自意識というものです。
 頭の中の思考がいくら変わっても、心の土台は変わっていないためで、しばしば、いくら考えても思考内容がループするようになってしまいます。

 下に引用するのは執筆中の小説からの抜粋で、主人公が高校時代に対人恐怖になり、そこから抜け出る過程を振り返って述懐しているものです。自意識過剰という自意識のループに触れています。
 「人がどう思っているか気にしすぎるから緊張する。気にしないようにしよう。」これは対人緊張の心理でよくある話だ。
 だが、こう考える思考全体が、自分が人にどう見えるかを気にする心理によって駆り立てられていることが多い。「気にしない」と考えるそもそもの目的は、好感の持てる人間として人に見える自分を求める心理に再び戻ってしまう。

 このような自己矛盾に陥るような状態を、僕はカレン・ホーナイの著書でか、"folded into himself"と表現していたのを憶えている。「自分自分の中に折りたたまれる」というような訳になるだろう。
 僕の場合もそのような自己矛盾思考が顕著だった。
 対人緊張で敗北感を覚え、自己を内省して自意識過剰だと考える。そして自意識をなくそうと考える。だが何でそう考えるかというと、自分が「自意識過剰のない純真な人間」である姿を示したいからだ。これは自意識過剰に他ならない。。
 そうした自己矛盾に、僕自身も漠然と気付き、どう考えていいのか混乱するようになった。似た経験を持たない人間からすれば、何のことを言っているのか分からない奇妙きてれつな(笑)思考が僕の中には展開された。
 いわば、つまずいて自分自身の中に倒れこんでしまったような状態だった。
 ではどうすれば緊張しないでいられるのか。
 へたに小手先を労せず、人に変に思われることを恐れる自分の気持ちにじっくりと真正面から取り組むのがお勧めです。
 取り組み方法はこのサイト全体で説明するもので、長い道のりになりますが。。