心理障害の感情メカニズム
1 一次心理過程
1.2 強迫的な3種類の態度

(4)攻撃型態度

 攻撃型の態度では、基本的不信に含まれる怒りが強調され、攻撃性を発散して、怒りを晴らすことと、自分の意を通すという態度が取られます。
 しかし本人はまだ子供であり、自分は本当は無力という感覚を心の底に残していますから、正々堂々と闘うのではなく、相手の弱みをついてひるませる、もしくはより弱い者を攻撃するというのが基本傾向になります。

 この態度の強迫性の説明は、追従型ほどはありません。比較的単純です。

 まず強調したいのは、この態度が持つ「哲学」とも言えるものです。
 なぜなら、この攻撃性の哲学こそが、基本的不安からの心理発達を遂げた全ての人間の心底での世界観であり、自己をその中で追い立てている本心だからです。
 追従型のタイプが意識の表面でいかに利他精神を尊び、善良そうな仮面をつけていたとしても、心の底はこの哲学に支配されているのです。

 それは「この世界は万人の万人に対する戦い」であり、「弱肉強食」の世界であり、他人を踏みつけ振り落として上にあがらねば生きていけない、という哲学です。

 このため、自己意識においては、「強さ」や「勝利」を意味するものが何でも重要になります。
 自分の望みを実現するためには、人に勝たなければならないし、自分が1番強く、1番賢く、1番美しく、1番優しく、1番性格もいいと外界に対して証明していなければ気がすまなくなります。
 
 他者からの評価は、追従型においては情愛の印として必要とされ、この攻撃型においては自己の優位性の印として要求されます。
 追従型においては無力感が、攻撃型においては怒りが、その権利を主張するための感情的土台になっているわけです。

 攻撃的態度は、このような攻撃性の哲学がストレートに現われたものと言えるでしょう。
 追従型態度は、この哲学は「自分だけ苦しみに耐えている」そして「回りは心の繊細を分からない下劣な人間達」という「清廉性の意識」にカモフラージュされる形で、攻撃型と変わることのない敵意と怒りに満ちた感情を裏で発散します。
 *この他者イメージは、基本的不安の原因となった幼児期の環境においては妥当といえます。しかし成人後においては、この後に起きる二次心理過程を経て、これが維持増幅することで、現実乖離したものになるわけです。

 基本的不安からの攻撃性が、強迫性を帯びる不合理性について。
 それはこの個人が、基本的不安における無力感を解消することなく置いたままであることによります。
 自分にできるのは弱いものいじめだけであり、心の底では本当は自分は一番の弱虫だ、というのが本心です。

 さらに、この攻撃性を選んだことにおいて、彼彼女は人と助け合う心を失い、人の慈愛を求める感情を自らの中の裏切りのように受け入れることができなくなります。
 これによって、現実において、彼彼女は人間としての真の強さを得ることができなくなります。

 これらの状況が、基本的不安を維持し、攻撃性の強迫性をもたらします。
 心底では、自分を弱虫と感じているので、現実にそれがさらされ、屈辱感を持つことが多くなってきます。
 これが復讐心を強化します。

 この態度が優勢で、他の態度が大幅に抑圧されている個人は、心理障害というより犯罪に直結しやすい心理傾向に向かうと思われます。
 心理医療の観点では、どんなに非道な犯罪に向かう人間でも、心の奥底には、自己を弱者と感じ、救いを求める別の人間が、彼彼女の中に眠っているという目を持つことが大切でしょう。


2003.7.11