2 二次心理過程
2.2 自己理想化と自己操縦心性
(1)自己の理想化像
(2)現実からの乖離(自己操縦心性の発動)
(3)理想化された自己の天国と地獄
(4)最初の破綻
(5)真の自己と障害基本感情
これまでの心理発達過程は、主に外界への反応として起きた感情であり、その結果人格の内部に自動的に起きた結果でした。
そこに含まれる本質的な心理病理とは、基本的不安、自己疎外、人格分離の3つです。
これはどちらかと言うと、心理障害における病理の静的な特徴を表すものです。つまり結果の側面です。
実際の心理障害は、さらにもうひとつの病理要因が加わることで本格的な様相になります。
動的な特徴、つまり本人の心を病む方向へ積極的に向かわせる動きであり、これを一言では「現実からの乖離」と良くいいます。
先の帰結感情にしても、そこには既に多分に破壊的な感情が起きています。
しかしそれが現実の状況から自然に起きてしまったような妥当な結果である場合、人は彼彼女を心理障害者とはあまり感じません。
一方、私たちがある人を「心を病んでいる」と感じるのは、彼彼女が置かれた現実に比べてあまりに釣り合わないようなマイナス状態にある時です。さらに言うならば、現実とは不釣合いなマイナス状態に自ら向かう力に取りつかれているように見える時、その人は心を病んでいる、と私たちは直感的に感じ取ります。
そうなる過程で新たに加わっている心理機能は、「空想」や「想像」です。
空想力や想像力は、人間に特有な高度な脳機能です。
そのおかげで、人間は創造性を手に入れ、科学を発達させ、高度な文明を作り出しました。
もちろん空想や想像の世界は現実とは異なり、空想が暴走すると時にして大きく現実離れしてしまいます。
そして空想と現実の重みが逆転した時、夢や妄想、幻覚といった特有の現象が起きます。
心理障害においては、空想された他人や自己のイメージが一人歩きして、感情がどんどん悪い方向に動いてしまうのが顕著です。
人間の生活を豊かにした空想力が、ここでは逆に、人生を台無しにするほどの破壊的役割を果たしてしまう。
不思議というか皮肉なものですが、このように心が動くメカニズムを、人間はDNAの中に持っているのでしょう。
これまで述べた基本的不安からの発達過程の結果、それが「発動」します。
(1)自己の理想化像
(2)現実からの乖離(自己操縦心性の発動)
(3)理想化された自己の天国と地獄
(4)最初の破綻
(5)真の自己と障害基本感情
2003.7.26